トマス・トゥングス

Redpoint Ventures パートナー

ポジショニングと期待をさせることの重要性

私が初めてLookerのCMO(マーケティング最高責任者)のジェン・グラントに会ったとき、彼女が以前Box (訳注:Boxは企業向けのデータストレージサービスを運営しています。)でマーケティング部門のシニアバイスプレジデントとして働いていた時の出来事を話してくれました。それはマーケティングメッセージで、期待を持たせることの重要性についてででした。

 

BoxのCEO兼創設者のアーロン・デビはカンファレンスで ” 未来のコラボレーション” について話しました。

彼のメッセージ:今後、我々Boxはサービスを通し、働き方を変えていきます。もうすでにwww.box.netを見ていたら、我々が会社の違うポジショニングをしていることに気付くでしょう。それはいたってシンプルなものです。Boxが FTP(ファイル・トランスファ・プロトコル)に取って代わるのです。

 

いったいどうすれば、それぞれの顧客に対し、違ったポジショニングを取る事ができるのでしょうか。これが ”期待” なのです。ジェンが説明してくれたところによると、Boxがやっているそれぞれのポジショニングは、特定の目的を持っているそうなのです。

彼の聴衆のほとんどはFortune 2000企業のCレベルの幹部でした。彼の講演の目的はその場ですぐにBoxを売り込むことではありませんでした。聴衆に1年後、もしくは2,3年後にBoxを使ってもらうようにポジショニングをしていたのです。当時会社とプロダクトは早すぎる段階ででした。結局のところ、この戦略は、営業プロセスの前に顧客に商品を知ってもらうためのとてもいい手段でした。

 

一方で、Box.net のウェブサイトでは、Websiteの訪問者に対し、即時の問題会解決を提供しているという事に焦点をおきました。いかにしてサイズの大きなファイルを簡単に移動させるか。この即時の価値提供は、同時に商品のコンバージョンファネルを最適化しました。

 

会社が成長するにつれて製品はますます複雑化し、拡大していきます。Boxの価値提供は毎年アーロンがステージで発表した究極のビジョンに近づいていました。数年後、Boxは同じビジョンとともに、当時と同じ聴衆の前に現れます。そして、前回会った時とは異なり、今回はサービスを使用してくれるようになるのです。

 

これは、2つの理由を含め、スタートアップにとってとてもためになる話です。

まず1つはこのBoxの例はどのようにマーケティングメッセージと商品の間に期待を持たせたかについてです。まだ商品がなくとも、聴衆は会社が何を目指して、どこに向かっているのかを理解することができます。そのため商品が成熟したのちに、人々は買いたいと思うのです。

 

2つ目は、このエピソードは顧客セグメンテーションの重要性を強調しています。顧客セグメンテーションは、スタートアップの顧客基盤を分けるのにとてもいい方法です。顧客は、中小企業、中堅企業、大企業という風に分けることができるかもしれません。あるいはもっと大きな水平方向や垂直方向への分類もあるかもしれません。そのビジネスに合うものであれば全てが顧客となり得る場合もあります。

 

Boxの場合、大企業の顧客セグメントは会社のビジョンについてのスピーチを聞いた人で、一方、現在のBoxの顧客基盤であるSMBセグメントには多くの戦術的なキャンペーンを実施しています。

 

顧客セグメントはスタートアップにとって軽んじてはいけない重要な戦略となってきています。顧客セグメントへのそれぞれのマーケティングメッセージがより意味をもった、影響力のあるものになります。そしてこれらのメッセージは、製品、販売、エンジニアリング、そして顧客獲得すべてにおいて大きく影響します。つまりビジネスにおける全てに使えるということになります。

マーケティングは途切れることのないものです。マーケティングにおいて我々が学ぶべきことは、どの顧客セグメントが自分たちに関係しているのか、どういったメッセージを届けるべきなのか、そして商品の現在と会社をどのようにしていきたいのかのギャップを認識し、その中で期待をさせることなのです。

原文 : http://tomtunguz.com/tension-marketing/
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