ポール・グレアム

Y Combinator 共同創業者

名前を変えろ!!

2015年 8月

アメリカでXというスタートアップを持っていながら、X.comを所有していないのであれば、あなたは会社の名前を変えるべきです。

人に見つけられにくいだけではありません。モバイルアプリを開発する会社にとっては特に、正しいドメイン名を持つことはユーザーを獲得する上で以前ほど重要なことではありません。.comを持たないことの問題は、あなたの会社の弱さを表しているからです。とてつもなく有名な会社でもない限り、妥協したドメインだと、その程度の会社であると思われます。しかし、x.comを持つだけで、(Stripeのように)あなたの活躍とは関係なく強さの現れと受け止められます。

一部の起業家はこれに反対するかもしれません。その理由は大きく二つです:アイデンティティと、想像力の欠如です。

私たちはXなのだ、と起業家は思うでしょう。ピンと来る名前はこれしかないと思うでしょう。しかし、それは間違いです。

最初の問題には、一歩身を引いてみることで解決できるでしょう。他の名前を名付けたと想像してみてください。きっと今の名前と同じだけ愛着が湧いてくるでしょう。むしろ現在の名前に変えることに反感を覚えることでしょう。[1]

名前に本質的な良さなんてありません。その名前に愛着が湧いているいるのは、自分たちでつけた名前だからです。 [2]

他にいい名前が思いつかないという、反感の第二波を中和するには、単に自分にネーミングセンスがないと自覚することが一番です。ネーミングセンスは、良い起業家になる上で必要なスキルではありません。素晴らしい起業家であっても、会社の名前が全く思いつかないことはよくあることです。

それを自覚すると、他にぴったりな名前なんてないという思い込みはなくなります。それ以上に良い名前はきっとあります。まだ思いついていないだけです。

では、どうやって見つけるか?答えの一つは、問題があるときの典型的な解決方法です。他にネーミングセンスのある人を見つければいいのです。そして、会社のネーミングに関しては、もう一つの解決方法があります。あからさまに悪い単語の組み合わせでもない限り、どんな名前でも十分に良い名前であることがほとんどです。そして、ドメインの数は無数にあるので、きっとまだ取られていないものや、安く売られているものもあるでしょう。なので、リストを作っていくつか買ってみてください。Stripeはそうしました。(parse.comもリスト入りしたのですが、Parseに取られてしまいました)

会社のネーミングセンスと、起業家に必要なスキルとが全く別問題であると知っている理由は、私自身が経験者だからです。私がYCで働いていて、スタートアップと仕事をしているときに、新しい名前を考える手伝いをすることが度々ありました。80%の場合、私たちは20分以内に少なくとも良い名前を一つは思いつくことができました。

今では、その会社がどんな会社であるかなど、より重要な質問を考えなければなりません。名前を変えるべきときには、そう伝えます。しかし、どれほど彼らが名前に執着しているか知っているため、ほとんどは名前を変えないということも知っています。[3]

同じ名前の .com を持たずに成功したスタートアップの例もあります。様々な問題を抱えながらも成功する企業はあるものです。しかし、この間違いは言い逃れのできない問題です。問題があるということを認識できれば数日以内に解決できる問題なのだから。

YC のバリュエーションでトップ20社の100%が、同じ名前の .com を持っています。トップ50社の94%もそうです。しかし、現在のバッチの66%しか、同じ名前の.comを持っていません。これは現在のバッチの会社には、まだまだ学ぶことが多いということです。

注釈

[1] ちなみに、この思考実験は国籍や宗教にも適応できます。

[2] 名前に持つ愛着は、簡単に解消できるような、直接的に現れるものではありません。本質的にもつ素質に関する一連の信じ込みによるものです。(これも、国籍や宗教において当てはまります)

[3] .comを持っていないということを問題視しながらも、いずれ買い取ることができると自分を騙しこんでいる起業家がいます。しかし、そのオーナーが希望価格を出してこない限り、売られることはないと思ってください。

サム・アルトマン、ジェシカ・リビングストン、ジョフ・ラルストン、この記事の下書きを読んでくださり、ありがとうございます。

原文 : http://www.paulgraham.com/name.html
Heap | Mobile and Web Analytics