ニール・イヤール

本Hooked:サイービスのハマルしかけの作者

完全に新しいものではなく、親しみのあるものを違ったやり方で作れ

あなたの製品やサービスが定着していないのであれば、「私のカリフォルニアロールはなにか」と考えてみてください。

初めて彼に寿司を食べさせるには、どうすれば良いのでしょう?

確かに、弁当箱からビジネスの教訓を学ぶことができるなんて変な話です。しかし、カリフォルニアロールについて考えてみると:

日本料理店における代表的なこの品のインパクトを理解することで、あなたの製品を成功させることができます。

顧客が定着していないことに焦りを感じているのであれば、1970年代アメリカの日本料理店店長に共感することができるでしょう。この頃のアメリカでは寿司は全く人気がなかったのです。

人気がないどころか、寿司のことを怖がっていました。生魚を食べるということを怖がっていて、豆腐やワカメを食べるなんて笑いごとでした。

そこで、カリフォルニアロールが出てきたのです。この巻き寿司の正確な発祥の地は判明していないものの、大きな影響をもたらしました。カリフォルニアロールは、身近な食材を新しい方法でつくったものでした。お米、アボカド、きゅうり、ごま、カニ、といったアメリカ人にも親しみのある食材が、隠された海苔によってまとめられていました。

親しみのあるものを違ったやり方で

カリフォルニアロールは、日本料理について知るきっかけとなり、大人気になりました。沿岸部の都市で日本人の顧客しかいなかった寿司は、数十年経て、アメリカでも一般的な料理となりました。

今日、寿司は沿岸部のみならず、田舎の小さな街にも、空港にも、小さなモールにも、地元のスーパーの惣菜コーナーにもあります。年に22.5億ドルもの寿司がアメリカで消費されています。

カリフォルニアロールは、日本料理について知るきっかけになった。

カリフォルニアロールで学ぶことのできる教訓は簡単です - 人は、全く新しいものは欲しがらない。親しみのあるものが違ったやり方でされたものを欲しがる。面白いことに、この教訓は食べ物の味だけでなく、技術革新においても当てはまります。

たとえば、パソコンの一般化において鍵であったGUI(グラフィカルユーザインタフェース)も、フォルダーやノートパッド、窓(ウィンドウ)、ゴミ箱など親しみのある画像を使っていました。一般的なユーザーはそれまでのCLI(コマンドラインインタフェース)を怖がっていたのです。(生魚を食べるという発想を怖がっていたように)

インターフェイスの下のコンピュータは同じものですが、親しみのある表面によって突然身近なものになりました。

Apple初期のスキューモーフィックデザインこそ、パソコンにおけるカリフォルニアロールでした。不必要でも古風で愛着の沸く親しみやすさの表現はApple製品である証となりました。

「亡きスティーブ・ジョブズの下、Appleのデザインでは、スキュモーフィック寄りのデザインが多用されていました。Appleのデスクトップのカレンダーにはコリンシアン・レザーのアクセントがありました。本棚にはベニヤの光沢がありました。ページには使い古されたあとがありました。テーブルトップは緑でした。」とMotherboardでクレア・エバンスが書いています。

そして、今では製品の仕組みに親しみのある世代を対象としているため、カリフォルニアロールではなく刺身に移ることができるわけです。「人々はもうガラスパネルに親しみを感じていると理解したのです」とAppleのジョニー・アイブも説明していました。

「もう物理的なボタンを欲しがっていませんでした。物理的でないことによるベネフィットを理解していたのです」

小さなクレジットカードは、モバイル支払いにおけるAppleのカリフォルニアロールです。

ユーザーに新しい行動を取らせたい場合、Appleは今でもこの方法を用います。

例えば、リブランドされたApple Walletでは、ユーザーがこの技術に親しみを覚えるため、支払いのオプションを小さなクレジットカードのように表示しました。そうするべき技術的な必要性はなかったものの、Appleは親しみの力をよく理解していたのです。

親しみが「ない」と嫌われる

著書Hookedでも書いたように、親しみのない製品やインターフェイスは使いづらく、定着しづらいものです。

        

異常なものには抵抗するよう、いくつもの心理現象がおこる。

スタンフォード 行動誘導技術研究所のBJ フォッグによると、「いつもと違うこと」は人が特定の行動を取ることに関する「シンプルの要素」の一つだそうです。Foggは言います:

いつも通りでない行動を前にすると、シンプルではないと感じてしまう。シンプルさを求め、他の選択肢よりも時間とお金のかかる使い慣れたガソリンスタンドを使ってしまう、といった行動を取る。

もちろん、「新しくて改善されたもの」に対する好奇心はあります。しかし、その気持ちはかなり小さなものです。「新しくて改善されたもの」は、コーンフレークや洗剤といった、すでに親しみのあるものに対しては有効的です。しかし、全く似たようなものがない製品に関してはあまり効果がありません。

残念ながら、私たちの習慣づいていないものを避ける傾向は、革新的な開発を行なっている企業の成功を難しくしています。たとえその技術がどれほど有益なものであったとしても。もしその新しい製品に親しみを感じなければ、かなり成功は難しいでしょう。

Foggによると「学んだり訓練することは、労力を必要とするため避けられます。大人の持つ習性に反するものなのです。私たちは怠け者ですから。結果、新しくやり方を覚えなければならないような製品は、失敗しがちです。」

あなたのカリフォルニアロールは?

Apple Watchを説明するとき、ジョニー・アイブは目標が「不思議と身近な」ものをつくることであったと言っていました。スマートウォッチは、ほとんどの人にとってはまだ早すぎるような技術革新です。

私は、伝統的な腕時計から取り入れたDigital Crownに魅了されました。アイブは、自分のやろうとしていることをよく理解しているようです。業界アナリストによると、今年で1900万台になると言われています。

技術革新が加速されるにつれ、製品が定着するかどうかは技術的な障害ではなく、人間の行動になってくるでしょう。私たちにいい影響をもたらすような製品やサービスが出るのであれば、私たちにとって親しみのあるものでなければなりません。

ユーザーの心(場合によっては口)を掴むには、親しみのあるものを、違ったやり方で行わなければなりません。

まとめ

  • カリフォルニアロールは親しみのある食材を新しい形で提供することで、アメリカに寿司を普及させた。
  • カリフォルニアロールの法則:完全に新しいものは求められていない。親しみのあるものが違ったやり方でされているものを求めている。
  • 完全に新しいものを定着させるには、親しみのある心理モデルを作る必要がある。(Appleのスキュモーフィックデザインのように)
  • 親しみのないインターフェイスは使いづらく、定着しない。
  • あなたの製品が定着していないのであれば、「私にとってのカリフォルニアロールはなにか」と考えよう。

どう思いましたか?

新しい技術や製品はどのように導入できるのでしょう?他にもカリフォルニアロールの法則を用いて新しい製品を普及させた企業を知っていますか?コメント欄でぜひ共有してください。

原文 : https://medium.com/@nireyal/people-dont-want-something-truly-new-they-want-the-familiar-done-differently-7648f24f8fe7
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