マーク・サスター

Upfront Venturesパートナー

資金調達に集中しろ

自分のスタートアップビジネスを行う時は時間はあなたのものではない。常に誰かの時間を使っている意識を持とう。口座に現金があり、バーンレートとキャッシュアウト日を完全に理解している人は会社でそんなにいないだろう。

これまであった創設者たちは皆、時間に余裕はないこと、失敗する可能性もあることを十分に理解していた。それが出来る者のみがビジネスを1から始めることが出来るのである。そしてそれが出来る人は限られている。これは私が説明しなければならないこと、そして一般的判断の根本的な原理だろう。

各ラウンドで資金調達に成功することは死神から与えられる一時的な猶予のようなものであって、ラウンドが進む度に次のラウンドに向けての資金面や収益率への期待のハードルが上がっていく。これがラウンドで資金調達に成功しても成功した気にならない理由だろう。

もしあなたにもうすでに投資家がついているなら、あなたは"厳しい時には彼らがサポートしてくれるだろう"と気楽に思っているかもしれない。だが本当に彼らが投資してくれるかどうかは確信的ではない。私に投資してくれているVCは助けになる、と言ってくれた。だが、彼らの最終決断は私が本当にお金がなくなった時や、さらなる資金が必要になった時が来るまで分からない。

決済の日が近づくにつれてキャッシュアウト日を予測しやすくなる。プレッシャーが大きくなってきて、全ての決断はより重要性を増してくるだろう。スタートアップビジネスを行うことは少なくとも自分のやりたいことを全て行うことは不可能であるということを認識していなくてはならない。かなり現実的な可能性を犠牲にすることで新たな方法が見つかることだってあるのだ。

資金調達は皆にとって難しいものである。あなたがどういったニュースを見ているか知らないが、資金調達を簡単に成功させているのは本当に一握りの人だけである。資金調達が上手くいかず苦しんでいる人達にとってこれを今知ることは苦労しているのは自分だけではない、と励みになるだろう。

資金調達の歪んだ性質だが、VCにとってあなたの会社を実際に評価する努力もせず「あなたの会社はよくない」と言うことは簡単で、だからこそ大抵「イエス」よりも先に「ノー」という答えが返ってくるのである。あなたが次に進もうとするはるか前の時点で「ノー」と言われてしまうのである。

"資金調達のゲームは誰とでも馬が合うものではなく、数を打てば当たる" と割り切ることが出来ず、早い段階で自信をなくしている創設者を多く見てきた。多くの資金調達の可能性がある中で本当に成功するのは少しの人だけである。

私が何度も何度も観察してきた人がいる。それは資金調達に20年もの間成功していて、かつ我々が現在資金調達を行なっている会社の役員として投資をしてくれている人だ。そこから得た知識と考えを今後数年のうちに資金調達をするであろう人達のために書き出したいと思う。

1.早いうちに始めろ

創設者が起こす最も大きな間違いは口座のお金がかなり少なくなるまで資金調達を始めないことだ。後がない状況では近道をせざるを得ない。可能性のある投資家に会える機会は減り、フィードバックに基づいてアプローチ方法を変えることも出来ない。そして仮に現在あなたについている投資家がさらなる投資をすることは難しい、となった場合に"プランB"についての話し合いを十分にする時間がない。

この時間の制限は高いバーンレートの元でさらに加速するだろう。なぜならバーンレートが高ければ高いほどあなたが調達しなければならない18ヶ月間の資金の額は大きくなり、厳しい状況では内部の人もあなたを支えることが難しくなる。

あなたの会社に現在ついている投資家にバーンレートについての意見を聞き、早い段階で、何かあった場合のバックプランはどのようなものになるか確認しておくとと良いだろう。そして予期していなかった出来事などにより彼らが投資することが難しくなった場合は他の人からのサポートを受けることが出来るかどうかも分かっていると良い。おかしなことに、私が知っている創設者の多くはこういった会話を早い段階でしていない。

そしてあなたに投資をしてくれているVCのパートナーをいくつか知っていると良いだろう。厳しい状況に陥った際に広いサポートを受けられるようになる。

2.資金調達の準備を真剣にしろ

ほとんどの起業家が完璧な資料を作ることにすべての労力を捧げ、そして現在の投資家にどのVCに話をしに行くべきか尋ねている。しかし、実際の資金調達ゲームの準備にはほとんど手間をかけていないことに私は気がついた。

話をしに行くVCのリストを持っていることはもちろん良いスタートである。ただその後にその会社が、過去数年間どのような取引を行なっていたのか調べなければならない。また、何人のパートナーがいるか、どのパートナーとどういった取引をしているかを知る必要がある。どのパートナーが積極的でどのパートナーが積極的でないか、誰が取引承認の権限を持っていて、誰がいつも承認を得られず苦しんでいるかを知っていると尚良い。

知らなければならないことが多いと感じるだろうか。実際に多い。ただもしあなたが起業家のネットワークを活用し、これまでに多くのスタートアップの事例を取り扱ってきた弁護士と話をし、現在の投資家に話をするなどしていると感覚がつかめてくるようになる。それぞれの会社で誰に会いたいのか、自分を紹介するにあたって誰に自分を売るのがベストか計画を立てなくてはならない。

あまりも仕事が多いと感じるかもしれない。私だって分かっている。ただ資金調達に成功するカギは間違いなく下準備に時間をかけることであって、資金調達が必要になるずっと前から動き始めることが良いのである。資金調達はフルタイムの仕事と同じで決して軽んじてはいけない。責任はCEOにあり、2、3年に一度味わうことのできる3ヶ月間の快適な期間なんかではない。資金調達を行う者は皆同様に苦しむのである。

 3.本番前にピッチテストを行うこと

可能性のあるVCのリストを作る際には最初にピッチの練習をする用のバックアップとなるVCもリストに入れるようにするとよい。そして現在の投資家にもピッチを行うことを忘れてはいけない。その際、自分たちのことを知らない外部の者であるように反応してもらうようにしよう。

最初の一回、二回のピッチでは完璧なパフォーマンスを行うことは不可能である。だからこそテストでバックアップ用のVCにピッチをするのだ。ピッチを繰り返し、資料をアップデートし、最も重要なミーティングの前にはよりよいものにしておく。

4.直接会うこと。フォローアップをすること。再度戻ってくること。

資金調達は営業であり、根気強さとその後のフォローアップが必要である。優れた営業マンは決して諦めることはない。そして目の前にいる客を手に入れるための新しい方法を常に探している。

全ての会議を電話やビデオ通話で行おうとしている創設者を多く見てきた。この方法は時には早い段階で見極めをつける場合にはいいかもしれないがあまり効果的ではない。私は直接会いに行くことをオススメする。

資金調達をしている人を見てきて最も驚いたことはフォローアップをする人が少なすぎることだ。一度ピッチを行なった後はフォローアップをするのはVCの側である、と信じているのは分かるが、実際はそうではない。売り手と買い手で見た時にフォローアップは売り手の仕事である。良いVCはフォローアップをするが、それは起業家にも言えることである。良い起業家はフォローアップを忘れない。最初の会議の内容を記録する起業家があまりも少ないことに私は驚いた。

そして創設者にいつも伝えていることであるが、もしあなたが会議中に手応えを感じているなら、それは間違いなくいい会議なのである。しかし、3週間後に改めて彼らに話をしようとする時には、彼らには別の25の仕事があって、その3週間の間に別の10のピッチを聞いていて、あなたへの興味、好感は薄れていることだろう。これは他のRFPが多数ある中で、また5つの会社がピッチを行なっている中で起きる現象と同じである。全てのピッチを聞き終わったあとには、買い手はなぜあなたのプレゼンが好きだったのか忘れてしまうのである。

だからこそ彼らの前に何度も戻るのだ!彼らがなぜあなたに好感を持ったのかを忘れさせないようにするのだ。これが資金調達において最も重要なことである。なぜまだ時間が必要なのか、まだ見せるものがあるかを伝えるための言い訳をいくつも考えるのである。

5.何が上手くいっていないのかを学ぶ

VCはまるでハリウッドのプロデューサーのように簡単に「ノー」と言う。「まだ我々には早すぎるから」「まだ確信を持っていないから」やその他の「ノー」を伝える為のセリフをありとあらゆる場面で活用してくる。そしてあなたに本当のフィードバックをくれないだろう。

もしあなたがVCから「ノー」を受け取ったら私は彼らにきちんとしたフィードバックを求めるだろう。彼らが自分のピッチに対して真剣に考えてなく、討論する気がないことは分かっている、ただ、フィードバックが欲しい、そして自分のピッチを上達させたい。ということを熱心に伝えよう。

フィードバックをもらう為のもう1つの良い方法は内部の投資家に頼んで彼らに電話してもらい、そこでフィードバックを貰うという方法である。VC同士であれば本音のフィードバックを得られる機会が多い。これはプロの礼儀である。

私は最近VCから電話を受け、私たちのチームのフィードバックを貰った。彼女はCFOがCEOの邪魔をしているということを教えてくれた。そして「彼が言いたかったことは、、、」と言いかけて彼らは自分たちが困惑していることに気が付いた。こういったことを知ることは価値がある。

6.チームを最大限に利用しろ

先に述べたようにスタートアップとしてのあなたのゴールは投資家の前に何度も現れ"彼らがなぜあなたに好感を持ったのかを忘れさせないこと"である。ひとつの効果的な方法はあなたのチームメンバーを使うことである。最初の会議に3、4人のチームメンバーを連れて行くことはよくない。VCに会う理由を残しておくのだ。仮に最初の会議をあなた1人で行ったならば、「我々は最近新しいアイデアをローンチし、かなり自信があります。ちょうど我々の会社のCTOが来週あなたの街を訪ねる予定があるので、是非ともお話を聞いていただければと思って連絡しました。最終的に投資するにしろしないにしろ、お話を聞いていただくことに価値があると思います。」と次に会う理由を残しておくことが出来る。

直接会うことは勝利の秘訣である。

チームメンバーを使うこと。他の投資家はこの戦略は間違っていると言うかもしれない。彼らのほうが間違っている。VCには営業の腕はない。資金調達は営業なのである。あなたが尊敬している営業のVPに聞いてみるとよい。何が正解か教えてくれるだろう。

7.後ろの人脈

先に述べたようにさらに良いピッチをするためのフィードバックをもらう手段として自分の後ろについてくれている人達の人脈を利用することは効果的である。起業家からピッチに使ういい言葉をもらえるかもしれないし、エンジェル投資家から「いくつかのパートナーミーティングであなたは招待されてるよ」と声をかけてもらえるかもしれない。

現在あなたについている投資家があなたの代わりに動いてくれるだろう。全ての効果的なセールスのキャンペーンは外部からの助けを最大限に利用している。もしあなたがそれをしていないのなら、それはあなたが持っている手段を十分に活用できていないことと同じだ。そういった人脈はかすかかもしれないが信頼できるものであるはずだ。第3者を利用することで自分で送らなければならなかった5通の通知を送る手間が省けるだろう。

8.最初に「ノー」と言われるのは当たり前/ 自信を失ったら負けである。

資金調達で最も辛いことは常に「ノー」が「イエス」よりも先にくることである。簡単に言うと、本当に少数のVCが早い段階で「イエス」を出す。何人かは会議すら行わずに、あるいは最初の会議が終わった直後に「イエス」を出す人がいるが、それは稀である。

もちろん他の多くの仕事に熱心なVCたちは「イエス」を出すまでにもっと時間をかけて何回も会議を繰り返すだろう。つまり普通は悪いニュースばかりが初期段階では積もりがちで、あなたの自信を奪ってしまう。そうなってはだめだ!

資金調達のフィードバックを聞いている時にネガティブな回答を真に受けないように気を付けよう。そのネガティブなフィードバックのうちいくつかは彼らが間違っているだろうし、いくつかは個人的な見解による回答だろう。

常に自分を強く持て。もう先がないような敗北感を感じるのは、資金調達を始めるのがかなり遅れた時だけにしよう。資金調達のスタートが遅れると、口座の残高がどんどん減っていくことのプレッシャーで動悸すら感じるだろう。

9.資金調達は皆にとって難しい

自信を失わないための重要なポイントとして、"他の皆は簡単に資金調達に成功している"と考えることをやめることだ。私は過去5年間の資金調達で何度か厳しい期間を経験した。しかし最後に成功し、それを公表した時には、世間には何もなしにただ成功したように映っているのだ。

10.資金調達は二者択一。あなたが必要なのは「イエス」のみ。

諦めるな。もし名の知れた大きな会社が「ノー」と言ったとしても、中堅層の会社が「ノー」と言ったとしても、そして戦略がまるで上手くいかなくても、ただ前に進み続けるのだ。リストの幅を広げる。友人にどこで資金調達したか尋ねる。出版物を読みあさってあなたがこれまでに聞いたことのない投資家の名前を集める。そして彼らが本当に積極的な投資家かどうか確かめる。資金調達が終わるまで終わりはこない。これまで誰が見ても資金調達が一切出来ずに終わるだろうというパータンをいくつか見てきたが、彼らは最後の最後に「イエス」を貰っていた。賢いから資金調達に成功するのではない。皆同じである。それは紛れもない勝利である。もちろんあなたは最高の情報源が欲しいと思っているだろう。しかし、資金調達に成功した時にはあとはどうするかはあなた次第である。

11.最後まで終わりはこない。最後まで全力疾走しろ。

諦めずに最後までやる気を見せることを勧めているが、同時に注意していることがある。ラウンドが終わるまでずっとそのラウンドでの資金調達は終わりだ、と決めつけることである。契約書に使うインクが乾くまで、あなたの口座に資金が入るまで止まってはいけないのだ。9・11の最中に、あるいはリーマンショックの最中に資金調達を成功させた人たちに聞いてみるとよい。あるいはどんな理由であれVCに契約をさせたい気持ちにさせた人たちに聞いてみるとよい。できることがまだ残っているのであればそれは終わりではない。

まとめ

近頃あまりにも多くの資金調達に関する情報がある。創設者がいくつかの会社を回りピッチを行い、その1週間後にはタームシートを持って歩いているのを想像するのは簡単なことだ。だがそれは夢の中の世界である。資金調達は難しいのだ。それは皆に対して平等である。スタートで出遅れるな。早めに始めろ。1時間のミーティングに対して2時間の調査をしろ。何も当たり前だと思うな。全ての可能性を利用し、そして資金調達のゲームに集中するのだ。

原文 : https://bothsidesofthetable.com/getting-your-head-in-the-game-for-fund-raising-9201fce017c8?source=rss----97f98e5df342---4
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