レオ・ポロベッツ

Susa Ventures パートナー

スタートアップのリスクを下げる方法

以前の記事で、スタートアップはリスクのコレクションだということ、また会社の進歩のためには(そして投資家たちからより高い評価額を得るには)最大級のリスクにできる限り速く、徹底的に対処すべきだと述べた。だが、実際にはどうやって異なるタイプのリスクを緩和したらいいのだろうか?プロダクト/マーケットフィットを確保しているのだと自分自身を説得するにはどうしたらいいのだろうか?持続する会社を築くことができるのだと、投資家たちや従業員たちに納得してもらうにはどうしたらいいのだろうか?製品開発に優れているということをアーリーアダプターたちに示すにはどうしたらいいのだろうか?

この記事は、スタートアップ関連のよくあるリスクの項目(全てを網羅しているわけではない)、こういったリスクが分類されるかもしれないスペクトラム、そしてリスク緩和のためのヒントと経験則を紹介している。各スペクトラムにおいて「高リスク」から「低リスク」へ向かうにつれて、評価額、進歩しているという認識、そして成功の可能性が高まるだろう。

各スペクトラムの項目は、1(高リスク)から5(低リスク)で評価されている。あなたのゴールは、1から離れ5へ向かうことだ。たとえば、あなたがすばらしいケーキを焼くことができるのだと友人に証明しようとしたら、そのリスクのスペクトラムは次のようになるかもしれない。

  • [1] 今までケーキを焼いたことはないが、うまくできるだろうという確信がある。
  • [2] 過去に作った上手なケーキの写真を友人に見せる。
  • [4] 以前あなたのケーキを食べて大変気に入ってくれた人たちを友人に紹介する。
  • [5] たった今作ったすばらしいケーキを友人に食べさせる。

上位の原則

例として以下に示されるリスクのスペクトラムの大半は、核となる原則3つで要約することができる。

原則1:語るよりも見せるほうが良い。

  • [1] あなたはXYZができると思っている。
  • [3] あなたは以前XYZをしたことがある。
  • [5] あなたは現在XYZをしていて、うまくいっている。

原則2:外部の確証は、あなたの個人的な意見よりも強力である。

  • [1] あなたはXYZだと主張する。
  • [3] あなたと関係するたくさんの人たち(友人/アクセラレーターのバッチ仲間など)がXYZだと主張する。
  • [5] あなたとはまったく関係ないたくさんの人たちがXYZだと主張する。

原則3:データはあればあるほど良い。

  • [1] あなたの製品の売上は0件だ。
  • [3] あなたの製品の売上は5件だ。
  • [5] あなたの製品の売上は50件だ。

リスクスペクトラムの9つの例

一つ注意しておくと、以下は私個人のリスク「評価」に基いている。他の人たちが求める確証は違っているかもしれないし、同じ確証に対して異なる評価を付けるかもしれない。

1. プロダクト/マーケットフィット

ゴール:人が欲しがる何かを実際に開発していると証明すること。

B2Bの場合:

  • [1] あなたは、人があなたの製品を使いたくなるだろうと思っている。
  • [2] あなたは潜在顧客たちと話をしており、彼らは製品ができたら試してみたいと言っていた。
  • [2] LOI(基本合意書)がある。
  • [3] 無料の試験利用者がいる。
  • [4] 有料の試験利用者がいる。
  • [5] 有料の契約書がある。理想的には前払いになっている。

B2Cの場合:

  • [1] あなたは、人があなたの製品を使いたくなるだろうと思っている。
  • [2] 初期のユーザーが何人かいるが、彼らは皆、あなたの関係者である(友人、家族など)。
  • [3] あなたとは関係のない初期のユーザーが何人かいるが、ユーザー獲得のエコノミクスはすばらしいものではない。
  • [4] あなたのユーザーベースは穏やかな割合でオーガニックに成長している。
  • [4] あなたのユーザーベースは、手頃な有料の獲得手段を通じて、すばやく成長している。
  • [5] あなたのユーザーベースは紹介や口コミで爆発的に成長している。

別の観点:

  • [1] エンゲージメントは非常に低く、解約率は非常に高い。
  • [3] エンゲージメント、解約率は両方とも適度である。
  • [5] エンゲージメントは非常に高く、解約率は非常に低い。

2. 製品の品質に関するリスク

ゴール:すばらしい、高品質の製品を作れるのだと証明すること。

  • [1] あなたはすばらしい製品を作れるという確信があるが、今までに製品を開発したことがない。
  • [1] あなたは製品開発を外注しようと計画している。
  • [1] プロトタイプがあり、これはかなり平凡なものである。
  • [2] あなたは以前、すばらしい製品を開発したことのあるチームに参加していた。
  • [3] あなたは以前、すばらしい製品を開発したチームを統率していた。
  • [4] プロトタイプがあり、これは良くできている。
  • [5] 公開されていて、完全に機能する製品があり、これはすばらしいものである。

3. チームのリスク

ゴール:あなたのビジョン達成に適した、すばらしいチームを作ったと証明すること。

あなたの製品が必要とするのは、多くの機能分野(エンジニアリング、営業、UXデザインなど)をまたがる強力な実行力で…

  • [1] ...常勤のチームがカバーしているのは、こういった分野の1-2つだけである。
  • [3] ...常勤のチームがカバーしているのは、こういった分野の1-2つだけだが、投資家やアドバイザーたちがこのギャップの多くを埋めてくれる。
  • [4] ...常勤のチームはこういった分野のほとんどをカバーしている。
  • [5] ...常勤のチームはこういった分野のすべてをカバーしている。

4. 雇用のリスク

ゴール:チームを効果的に成長させることができると証明すること(優秀なエンジニアの需要が供給よりもはるかに高いシリコンバレーにおいて、これは極めて本質的なリスクだ)。

  • [1] あなたは今まで誰も雇ったことがない。
  • [1] あなたは、他の人たちが一緒に働きたいと思うような人間ではない(たとえば、あなたは嫌な奴である)。
  • [2] あなたは面接を何度かしたことがある。
  • [3] あなたは以前に人材採用・管理の経験がある。
  • [4] あなたは過去に、非常に強力なチームを作ったことがある。
  • [4] あなたのチームにはすでに何人かすばらしい被雇用者がいる。
  • [5] 現在あなたは、個人的なカリスマ、会社の確固としたミッション、すばらしい企業文化、あるいは何かこういったものを通じて、需要を満たす候補者たちを確実に雇用することができている。

5. 営業のリスク

ゴール:あなたのチームは製品を効果的に売ることができると証明すること。

  • [1] あなたのチームの人間は誰も営業経験がない。
  • [2] あなたは営業をしたことがあるが、それほどではない、最近ではない、あるいは自分の会社に必要となるのと同じような性質の経験ではない。
  • [3] あなたは製品の販売に成功しているが、かなり安売りしている、および/または、予想よりもはるかに長い時間が営業にかかっている。
  • [3] あなたは、自分のスタートアップに必要な営業の仕事と似た仕事をたくさんこなしたことがある。
  • [3] あなたは過去に、成功した営業チームを構築、統率したことがある。
  • [4] あなたは非常に強力で経験豊かな営業チームを持っている。
  • [5] あなたは優れた価格、そして妥当な販売サイクルによって、製品の販売に成功している。

6. 市場のリスク

ゴール:うまく実行できたら、巨大な企業になるのに必要な収益を十分得られると証明すること(例として、10億ドル以上でのイグジットの可能性)。

  • [1] あなたのターゲット市場は小さなもので、すばやく成長する可能性が低い。
  • [1] あなたは自分のターゲット市場がどれくらい大きなものなのか見当がついていない。
  • [3] あなたは市場サイズの推定を示すガートナーのレポートを見つけた。
  • [4] あなたは市場サイズに関する、妥当なトップダウン分析をしている(「人々はこの問題に対して毎年Xドル消費しており、私たちの解決策でこの人たちの15%を捉えることができると、私たちは考えている。」)
  • [4] あなたは市場サイズに関する、妥当なボトムアップ分析をしている(「私たちはグループAのユーザー10%、そしてグループBのユーザー20%を捉えることができると考えており、これらのユーザーに対し、それぞれXドルおよびYドルを課金しようと計画している。」)
  • [5] あなたは実験とデータによって裏付けされた妥当なボトムアップ分析をしている(「私たちの製品の潜在的なユーザーはX百万人いて、私たちはいくつかテストを実施し、各ユーザーが毎月Yドルを支払う意志があるということを示している。」)
  • [5] 現行の各企業は巨大なもので、あなたが行っていることに対して大きな市場があることを明示している。

7. 資金調達のリスク

ゴール:より優れた条件でより多くの資金を調達するために必要となるマイルストーンを達成するのに十分な資金があり、また、理想的なタイムラインで資金を調達できない場合に実行できる予備計画を用意していると証明すること。

  • [1] あなたのビジネスは長い間自立できるものではなく、多くのベンチャー投資ラウンドで資金調達をすることに完全に頼っている。
  • [1] 十分に資金調達している競争相手が複数あり、これらと競争するには多額の資本金が必要になる。
  • [2] 次のラウンドで調達をするのに必要な推進力を得られると予想している時期と、現在の現金残高を理由に次のラウンドで調達せざるを得なくなる時期との間にクッションがない(たとえば、100万ドルの収益を得るのに12カ月、シリーズAの調達に3カ月必要になると考えていて、銀行にはあるランウェイはちょうど15カ月分という状態)。
  • [2] あなたは以前、ベンチャー投資金の調達に成功している。
  • [3] あなたは以前、多額のベンチャー投資金の調達に成功している。
  • [3] 良質のファンドがあなたの現在のラウンドに投資をしており、これらのファンドはあなたが次のラウンドにたどり着けるように手伝い、案内してくれる。
  • [4] 資金の豊富な良質のファンドがあなたの現在のラウンドに投資をしている(つまり、これらのファンドが望めば、今後のラウンドにつながるようなファンド)。
  • [4] いくらかの努力と犠牲によって、追加の投資金が一切なくても収支を合わせることができる。
  • [5] いつでも簡単に収支を合わせられる、または収益を上げられるようになるので、追加の投資金に頼っていない。

8. 短期の競争リスク

ゴール:市場に現存するプレイヤーとの差別化ができていると証明すること。

  • [1] ありとあらゆるサイズの競合がたくさんいる(現行の巨大企業、若いスタートアップ、十分な資金を調達しているスタートアップなど)。こういった会社は、多くの方向からあなたのターゲット市場に挑んでいる。
  • [2] 競合はたくさんいるが、効果的ではない時代遅れのプレイヤーか、資金調達が不十分なスタートアップだ。
  • [3] 競合はかなり少ないが、あなたと競合の間に大きな差別化要素がない。
  • [4] 競合はかなり少なく、あなたと競合の間には大きな差別化要素がある。
  • [5] 競合は存在せず、参入障壁が高い(あなたの会社はこの障壁を超えている)。

9. 長期の競争リスク

ゴール: あなたが成功して、他の会社があなたの会社を真似ようとしても、自分の強力な立場を維持できると証明すること。

  • [1] あなたは一番乗りではなく、競争における本当の優位性を持っていない。
  • [2] あなたは本当の優位性を持っていないが、少なくとも一番乗りだ。
  • [3] あなたは競争における優位性が弱い。いくつかの特許がある、新規参入企業よりも多少優れたユニットエコノミクスがあるといった程度。
  • [4] あなたの競争における優位性は適度。顧客の間でのブランド認識は優れたもので、ユニットエコノミクスはかなり優れており、特許のポートフォリオも確固としたものである、など。
  • [5] あなたの競争における優位性は強力。ネットワーク効果や独自のデータセットなど、成長するにつれて強力になっていくもの。

リスクを下げる方法

ステップ1:自分の会社の主なリスク領域に関して、正直な自己評価を行う。

ステップ2:各リスクスペクトラムに沿って、高リスクから低リスクへ移る方法を挙げる。何ができるか確かではない場合は、投資家、アドバイザー、あるいは他の創業者たちに質問しよう。

ステップ3:自分の会社のために、短期および長期のリスク緩和計画を立てる。実施事項には小規模で簡単なものもいくつかあるかもしれない。たとえばAdWordsのテストを実施して、顧客の需要や市場規模を推定するなどである。他の実施事項、たとえば、洗練された方法でネットワーク効果をあなたの製品に築くにはどうしたら良いのかを見つけたり、チーム内に営業経験者が誰もいないときに優れた営業担当VPを見つけたり、ということには時間がかかるだろう。

各種ヒント

  • ある領域に残っているリスクがわずかな場合は、別の領域に焦点を当てよう。大抵の場合において、4.55に変えるよりも、13に変えるほうが良い。

  • 優れた投資家やアドバイザーたちは、123へ移す効果的な方法だ。たとえばあなたはマーケティング担当VPをどう雇ったらいいか知らないかもしれない。だが、あなたの投資家やアドバイザーの誰かが知っていたら、少なくともこれは何かのきっかけになる。

推論1:あなたを補完してくれるすばらしい創業者は、いくつかの領域で145まで直接引き上げてくれるかもしれない。これは、あなたのシードラウンドの評価額に勢いをつけるすばらしい方法である。

推論2:投資家とアドバイザーたちを慎重に選ぶこと。あなたに足りない分野で助けになってくれる人たちは、あなたと同じ強みを持っている人たちよりも、もっと価値がある。

  • 外部のフィードバックを得よう。自己認識は難しい。あなたに対して正直になってくれる、信頼できる人にリスク評価を求めることは、すばらしい方法である。

  • 真正面から対決しなくてはならなくなる前に、リスクに対処するようにしよう。今まで営業をしたことがなかったら、製品の準備ができ次第すぐに練習を始めることができる。だが、公開前に練習を始めることもできるし、そもそも自分の会社を始める前に、趣味のプロジェクトを使って練習を始めることすらできる。

究極的には、リスクの対処は投資家たちのためにすべきことではない。これは、自分のためにすべきことなのだ。もし自分の人生の何年、あるいは何十年を何かに捧げようと思っているならば、自分の最大の課題がどこにあるのか、そしてこういった課題へ徐々に対処していくにはどうしたらいいのかを理解することには価値があるだろう。

原文 : https://codingvc.com/how-to-de-risk-a-startup
Heap | Mobile and Web Analytics