ジョシュ・エルマン

Greylock Partners パートナー

家庭のIT予算について考えてみる Part 2

2000年代初期:コンピューターに対する熱狂が去り、コンピューターを持つことがごく普通のことになると、人々はフラットな液晶TV注目しだしました。未だに私は皆がブラウン管の大きなTVを持っていたのを覚えていますが、突然数年後、フラット液晶TVを皆が使い始めました。初めは、プラズマTVというものが出現し、次にLCD、そして大きなスクリーンと綺麗なサウンドシステムが台頭しました。長らくの間、TVの消費者は、1年か2年のスパンでTVをアップグレードするというサイクルにありましたが、しかしそれも、今までの頻度でもうアップグレードしなくて良くなるような、クオリティの十分なTVが出現するまででした。



2000年代中期から後期:驚異のスピードでモバイル携帯がこの時期に発達しました。NokiaのCandy Barから、MotorolaのRazrまで、人々は2年ごとにアップグレードを行っていました。スマートフォンが普及し始め、Iphoneが発売された年である2007年をもって、この流れはさらに加速していきました。


それと同時に、デジタルカメラも数年間人気を博していました。人々は、1メガピクセルから2、4、8メガピクセルへアップグレードするといったように、メガピクセルのためにお金を使っていました。そしてその後、よりプロフェッショナルなデジタル一眼レフ、よりコンパクトなミラーレスなどに変遷していき、2010年まで多くの人がモバイル携帯に加えてとてもクオリティの高いカメラを手にしていました。モバイル携帯、デジタルカメラが彼らにとっては、その頃の大きな電子機器の買い物の2つであったことでしょう。あなたはこの時期でも新しいコンピューターを購入していたかもしれませんが、それでも昔に比べるとその頻度は落ちていたはずですし、あなたの新しいテクノロジーの購入予算の1部ではあまりなかったように感じられたことでしょう。同様に、もし既に54インチのLCD液晶TVを持っていたなら、それ以上にアップグレードする必要があるのでしょうか?3DTVなどもデビューしましたが、最近の4KTVの発売まではあまり魅力的ではなかったと言えます。やはり.このようにTVの購入頻度も落ちてきています。あなたの子供が今のTVを壊してしまったのなら話は別ですが。


2010年代前期:機能がどんどん増えていくにつれて、スマートフォンがこの時期に爆発的な伸びを見せました。一眼レフが必要なプロの写真家以外にとっては、スマートフォンのハイクオリティの内臓カメラの登場で、デジタルカメラも衰退していきました。驚異的に便利な地図アプリもカーナビの衰退を招きましたし、このような例は他に多くあります。長らくの間、1年ごとのスマートフォン切り替え費用が消費者のテクノロジーの購入予算の大部分を占めるようになり、他のデバイスは購入されなくなっていました。GoProや他のアクションカメラは、初期バージョンや2世代目の発売までに多く購入した人がいたので一度人気を集めましたが、
これらの購入頻度も落ちてしまっています。同じことがウェアラブルデバイスや運動トラックデバイスにも言えるでしょう。


2010年代中期から後期: このパートは今日の話も含みます。私たちは2017年のスタートに立っていますが、テクノロジー産業は興味深い岐路にあると言えるでしょう。私たちは次は何を購入するのでしょうか?モバイル携帯はもう既に、言ってしまえば食品、交通費、トイレットペーパー、ペーパータオルなどと言った家庭の生活必需品の予算の1部となっています。10代の子供の4分の3はスマートフォンを所有していて、2012年に行われたとある調査によると、10代の子供達はスマートフォンを取られるよりは車を取られた方がマシだと答えたそうです。それだけではなく、腎臓を取られたほうがマシも答えた回答者もいたそうです。スマートフォンや、関連するサービスに必要な費用はもう"新しいモノ"を購入するための"家庭IT予算"の一部でもないのです。家や、交通手段、食事と同じくらい必要なモノになってしまっているのです。同様に、新しいTV、新しいコンピュータ、また新しいスマートフォンを購入する際に、特別予算を用意することも私たちにはもうありません。これらにかかる費用は通常の家庭の予算から出されます。大半は、買い替えとしてですが。


よって今消費者には、新しい何かに使うための"テクノロジー"予算があることになります。ただ、肝心な質問は、彼らは何に使うのか?というところです。人々はこぞって、サーモスタット、鍵、照明をアップグレードするでしょうか?はたまたドローンや、飛ぶ自撮り用カメラを購入するでしょうか?3Ⅾに対応した、アクションに特化した、または双方を兼ね備えたようなデジタルカメラのニューウェーブが生まれるのでしょうか?人々はVRやARのヘッドセットにお金を使うでしょうか?または個人用ロボットにお金を使うのでしょうか?

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私の予想


この新しいテクノロジーの渦巻く世界で、特に私はスマートホームの領域の持つ可能性に興味をそそられています。私が考えるに、これから"家庭のIT予算"の大部分が、私たちの家をよりスマートに、より良く、より楽しくするために使われるでしょう。私の個人的な最初の投資先は、インターネットにつながった"家"のhubを作っているSmartThingsという会社でした。この領域では初期からビジネスを始めていて、2014年に買収され、今ではサムスンの一部として、彼らは大きな進化をし続けています。


私はまた、Amazon EchoやGoogle Homeとこれらが提供するスマートホームへの新たな基盤をとても楽しみにしています。声というのは強力なインターフェイスです-まあそれは私たちのコミュニケーションの主な手段ですからね!私の意見では、まだ声を使ったデバイスは完全ではないと思いますが、私のAmazon Echoが私の求めることをしてくれるときは- "Alexa、電気を消して、暖房を強くしてくれ"- 私が初めてスマートフォンを手にしたときに匹敵するくらい魔法のように感じます。これから、多くの人がこれらのテクノロジーに重要な投資としてお金を使う日が来るでしょう。そして、当然ですが、新しいコンピューターを買うよりも遥かに小さな投資で済みます。私は、人々がこの新しいスマートホームのプラットフォーム上で、デバイスをより便利にし、家の中で繋がるエリアを広げるために、どんな事をするのかとても楽しみにしています。


私は、センサーやインターネット接続を家にあるどんな機械にも応用できるという事実には、多大なる可能性があると考えています。例えば、鍵とアクセスコントロール、センサーとセキュリティ、部屋の照明やスピーカー、空調と気候、キッチンなどなど。そして、すでに深層学習を家のカメラやデータフィードに応用し、家をより賢くするために活動している起業家もいます。


そして、近い将来に家のロボットや、世界をより広げてくれるARデバイスがどのようになっているかを考えると、(実際に購入し使用することも)とても楽しみで仕方ありません。実際にこれらは世界に大きな変化をもたらすでしょう(2017年かどうかはたしかではないですが)。


新たなデバイスやハードウェアを作る企業にとっては、大きなチャレンジが常に待ち受けています。初めに、彼らは人々が欲しがり、"家庭のIT予算"からお金を出したくなうようなモノを作る必要があります。そして彼らは、使われ続けるサービスが生まれる程の魅力をそのモノに持たせる必要、または消費者のアップグレードのサイクルにモノを乗せる必要あります。


そして、もしそのモノが数回のアップグレードのサイクルを経験することができれば、次は最後のチャレンジに直面することになるでしょう。それは、そのモノが消費者にとって必要不可欠なユーティリティのようなもの、インターネットやケーブルTVの契約料のように、家庭の通常予算から払われるほど必要不可欠になれるかどうかというチャレンジです。


また、以下のことを頭に入れておくことも重要です。上記で説明した、優れているが一度きりだけのガジェットから、消費者のIT予算の一部となるモノ、そして必要不可欠品として購入されるモノへの変遷をたどることは、全てのハードウェア企業ができることではありません。広い領域にテクノロジーを広げるまたは、適応させる必要があります。GoProやFitbitのような一度きりの製品であれば、人々に一定のアップグレードサイクルで購入し続けるよう説得することはやはりより難しいでしょう。これらのデバイスは単純に、消費者の予算に入り込むために必要である広い領域に入らないのです。毎年発売される新バージョンのデバイスも、消費者にアップグレードの決断をさせるための十分な魅力を有していないのです。なので、ただ"優れていて良いガジェット"という領域から抜け出せないのです。


議論の余地はあるものの、私たちはスマートフォンが王様の時代の終わりにたどり着いていると言えます、(新たなソフトウェアの機会や可能性はまだまだ多くありますが)なので、私は"家庭IT予算"を人々が次は何に使うのかとても気になっているのです。そして、どんな素晴らしい製品を起業家が夢見ていて、これから作っていくのか、とても楽しみにしています。

原文 : https://news.greylock.com/thinking-about-home-it-budgets-922f010e729f
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