クリス・ベイダー

Secret 共同創業者

プロダクトデザイナー: 無形物のアーティスト

私はかなりの時間をかけて人々にプロダクトデザインのアドバイスをしてきました。私のプロダクトデザインの定義は、アイディアへの着手から、市場に適した製品になる瞬間までの、共感意思決定プロセスである。このプロセスは私にとって常に内向きなものです。そして、論理的に自分のアドバイスを、人々に明瞭に伝えることが難しい事も時々あります。このプロセスは、知的なものというよりは、感覚的なものです。そして、今になって閃いたのですが- プロダクトデザインは伝統的な芸術の形と何ら変わりません。違うとすれば、プロダクトデザインの筆は感情移入、共感能力で、人の行動がキャンバスなだけです。

音楽を通してこれを説明したいと思います。

私は20代前半のころから、作曲をしたいという高まる願望を持っていました。この前の5月に、友人のジャスティンの新居にて音楽スタジオを立ち上げる手伝いをする機会がありました。音楽のスタジオなどについては限定的な知識しか持っていませんでしたが、無限大の興奮、高揚感を覚えました。なので、私は喜んで手助けをしました。そしてその後の4カ月間、毎日8から16時間そのスタジオの唯一のプロデューサーとして働き、8曲のプロデュースを手がけました。平均して、1曲当たり40時間かかったことになります。おそらく、私はジャスティン本人よりも長い時間スタジオにいたでしょう。

始めた際、私はすぐに作曲に取り掛かり始めました。なぜなら、私は身体で物事を学ぶことを好むからです。最初の曲を作り終えると、音楽への才能の開花を感じ、構造的な音楽の理解がさらに次のレベルに達する助けになると考えました。私はブログや本を読み漁り、Youtube上のチュートリアルを観て、底なしの音楽理論に関する知識やプロデュースのテクニックを吸い上げていきました。私は、これらを通して、音楽へは理論的なアプローチが必要だと説得されていきました。なので、私は創造のプロセスを変えました。キーボードで音符を打つ前に、明確的に音楽のキー(複数の音符のセット)を決めることにしました。違う言葉で表すと、私は遥かにより厳格的な音楽へのアプローチをとるようになりました。行き詰ってしまった場合は、本を開いて、理論的に解決策を探すようにしました。

しかしこれを続けていくうちに、私はとてもイライラし始めてしまいました。頭が痛みました。そこで、私は当時知っていた最も優秀な音楽理論家に電話をしたのです。私の友人である、アストンです。作曲の秘訣を教えてもらうことを期待して、私は彼にちょっとした音楽理論のレッスンをしてくれるよう頼みました。帰ってきた彼のカジュアルな返答は私をとても驚かせ、私の考え方を永遠に変えました。;

“それら全部のことはあまり気にしないで、ただ耳の訓練をしなさい”

このこともあり、私は理論的な詳細に骨を折るのを止めて、良い音楽だと自分で思ったものをやり続けることに戻ることにしました。そうするとすぐに、壁が消えたように感じて、合格レベルであろう音楽をその後数カ月にわたりプロデュースすることができました。

プロダクトデザインも同じことです。

優秀なプロダクトデザイナーは強い共感の感覚を持っています。彼らは、人々に”良く聞こえる”音というのが分かっていて、それを”聞く”事が出来ます。そして彼らは、人々に共鳴する製品(曲)を作る才能があるのです。私が知る中で最も素晴らしいプロダクトデザイナーたちは、モチベーション、感情的と精神的なモデル、価値観、優先順位、選好順位、そしてターゲットの聴衆の内部の葛藤などと、深く調和しているのです。彼らは、”ハーモニー(調和)”、”不調和”、”リズム”を、彼らのユーザーエクスペリエンスのなかで感知できるのです。また、ほとんどの消費者、顧客は製品や曲の不調和に気づくことができるます。なので、私たちが求めていないのは音痴なクリエイターです。

プロダクトデザインを理論的な方法または、もはや数学的な方法でアプローチをする人を良く見かけますが、ほとんど失敗に終わります。革命的な消費者向け製品は完全な客観的データから生みだされるのではなく、直感やユニークな主観的見地から作り出されるのです。人のために、人によって作り出されるのです。コンピュータはデータによって動きます。一方で、人は本能で動きます。それこそがプロダクトデザイナーの強みです。より多くのデータを持っているほど、本能ではなく理論に頼って解決策を探しがちです。そしてこのことは弱みとなり得てしまうのです。

しかし、プロダクトデザインの科学的側面にはメリットが全く無いと言っているわけではありません。製品の”音”を向上させるための広く適用されているテクニックもあります。私たちはデジタルな行動を記録し、仮説をフォーカスグループを用い検証し、ユーザーを観察する事で、使用上の問題を特定します。データの漏斗、ナビゲーションの筋道、ユーザーの各セグメントを見直すことで、行動のパターンを見出します。そして、保持と日々の行動を客観的な測定ツールとして使います。また、私たちはユーザーの声、バグ管理システム、文書で組織を整理します。これらが、製品をある方向に導き、元の形から変形させるために私たちが利用するツールです。しかし、音楽のように、もし元の形が価値のないようなものであれば、持っているものを最高に活用し、傑作へ導くことも難しいです。持っているものを最大に活用することは極大値を導き出し、根性は包括的な最大値を導き出すのです。

共感能力というのは、音楽の耳のように訓練できる感覚だと私は考えます。繰り返すことにより直感を磨き、人が何を感じ考えているかを汲み取ることのできる微細な認知力を身に着けることができるでしょう。繰り返し何かを世に出し、フィードバックを得て、また繰り返すことが感覚を磨くための最もシンプルなフィードバックループです。これは、人によってはとても自然に身に着くことです。そうでない人は、根気強さと忍耐力で身に着ける必要があります。どちらにしても、フィードバックに時間を使い、オープンに接することは成長に必須なのです。

“自分は正しいと思いデザインし、自分は間違っていると思いながら他人の意見を聞きなさい”ージョン・リリー、Mozillaの前CEO

今世紀の最も素晴らしい製品たちというのは、科学と芸術の交差によって生まれてきました。芸術の側面を考えると、有形のビジュアルやインタラクションデザインのことを考えがちです。しかし、それらの下には、無形の深い階層が続いているのです。人間の行動の基礎を作り上げる音や色を知覚できるアーティストたちが、その階層で他の人の感情を読み取る仕事をしているのです。私にとっては、彼らこそが製品の責任者なのです。

原文 : https://medium.com/@chrysb/product-designers-artists-of-the-intangible-67798b53835b
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