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中国がショッピングの未来について明かすこと Part 2

2人の巨人の物語:AlibabaとAmazon

東洋と西洋の違いをより良く理解するための別の方法は、それぞれのマーケットの主要なプレイヤーであるAlibabaとAmazonを調べることです。表面上、両社は非常に似通っているように思われます。両社ともオンラインマーケットプレイスを提供し、最大の市場シェアを取り、続けざまに新規事業の創造を行っています。両社は非常に成功していますが、それぞれのビジネスモデルはまったく異なります。

Amazonは、自社で在庫を抱え、ほぼ完全に消費者へと焦点を当てた、典型的なオンライン小売業者です。ほとんどの買い物客は、特定の商品を探しにAmazonへと訪れます。Amazonのサイトの実質的に無制限の品揃え、優れた検索エンジン、低価格、ユーザーレビュー、商品のレコメンド、簡単な決済、迅速な配送、および一流のサービスにより、非常に強固な顧客基盤が築かれています。数年をかけて、Amazonは多くの異なるビジネスやサービスにも進出してきました。Kindleの電子書籍、動画配信、オリジナルのテレビ番組と映画製作、そして食品配送などです。

対照的に、Alibabaは在庫を持たず、商品の売買を行いません。Alibabaは仮想ショッピングモールのように運営され、卸売業者と小売業者は買い手や売り手を見つけることができます。このeマーケットプレイスモデルでは、ブランドは顧客との関係を「所有」し、個々のブランドに適したオンライン体験を生み出しています。Alibabaは、ブランドやスモールビジネスのためにツールやサービスを提供することで、eコマースの世界を案内し、ゲーム、ニュース、動画、生配信のトークショー、セレブイベント、およびオンラインコミュニティを通して、消費者と直接つながることをサポートしています。消費者は、買い物のためだけでなく、楽しむためや新たなトレンドを掴むために、これらのサイトを訪れます。こうした能力の基盤となるものは、Alibabaのテクノロジーです。TaobaoやTmallなどのeコマースマーケットプレイスは、ソーシャルメディア、エンターテイメントサイト、およびニュースポータルだけでなく、デジタルマーケティング、決済、そして物流サービスとも統合されているのです。

ユニリーバ・チャイナでの体験は、Alibabaが販売業者のために力を発揮している例となります。ユニリーバは石けんやシャンプーを宣伝するためにゲームショー動画を生配信するだけでなく、販売業者が常連客と新規顧客を見分けることを可能にするテクノロジーを使い、消費者が企業のオンラインストアを訪問する際に、それぞれの顧客に合ったショッピングページを表示しています。Alibabaのテクノロジーを使い始めてから2週間で、ユニリーバのオンラインストア上で顧客が過ごす平均時間は26%向上しました。

データとアナリティクスは、AmazonとAlibabaの両社にとって非常に重要なものですが、使われ方は異なります。Amazonは、主に消費者の購買パターンに基づいて商品およびサービスの提供を洗練するために、データを使用します。同社はまた、販売業者にデータを共有することで、適切な商品を掲載し、競争力のある値付けを行い、在庫を管理するための手助けをしています。Alibabaは、消費者行動に関する幅広いデータセットを提供することで、販売業者がマーケティングROIを向上させ、デジタル店舗でのコンバージョン率を高めることを可能にしています。たとえば、販売業者にとって最も価値ある顧客が仕事のあとに訪れることを示すデータがあるとしたら、キャンペーンは昼間よりも夕方に実施するほうがより大きなインパクトを生むかもしれません。

Alibabaは、大規模なエコシステムから得られる豊富なデータのために、こうした強力なアナリティクスを提供することができます。消費者が様々なサイトをシームレスに移動するにつれて、Alibabaは彼らの行動やニーズをよりよく理解するために、ショッピング習慣、デジタルメディアの消費活動、物流ニーズ、支払いと信用の履歴、検索設定、ソーシャルネットワーク、インターネット上での興味に関する情報を収集しています。こうした情報の収集には、異なるサイト間での消費者データを関連づける「共通ID」が使用されています。約5億人の月間アクティブユーザーに関する詳細なデータを基に、Alibabaは8,000種類の消費者記述子を特定しているため、販売業者はターゲットとする顧客を驚異的な精度で捉え、エンゲージメントを高める努力の効果を向上させることができます。

Alibabaはまた、このデータを使用して、消費者にとって真にパーソナライズされたショッピング体験を、西洋ではまだ見られない程度まで提供しています。そのため、Amazonは消費者の検索や購入履歴に基づいて商品のレコメンドをしていますが、Alibabaは消費者が知らなかった新しいブランド、プロモーション、またはコンテンツを提案するかもしれません。また、これらの提案は狙い通りとなる傾向があるため、非常に高いクリック率とフォロースルー率をもたらしています。データアナリティクスと人工知能をこの程度まで高めることができた米国や欧州の企業は、たとえ存在したとしてもごくわずかです。

新たな小売

今日、中国と西洋の小売業者は同じ困難に直面しています。それは、どのようにして継続的かつ収益性の高い成長を達成するかということです。費用が重くのしかかる大規模小売店やショッピングモールの多くは、顧客と収益をオンライン販売業者に奪われています。中国では、多くの自国ブランドがオンラインでのみ存在しています。成長を達成するためには、特に市街地などへ、オフラインで展開していく必要があります。

中国および西洋の小売業者にとってのソリューションは、オンラインおよびオフラインの強みを活かし、シームレスで魅力的な顧客体験を提供し、在庫管理、品揃え、および物流の効率を向上させる、統合型のオムニチャネルモデルを開発することです。この新しい世界では、オンラインとオフラインでの商取引の区別はなくなり、消費者がすべてのチャネルで考え、行動する方法によって、販売業者がビジネスを運営する方法が決まります。プレイヤーは、パーソナライズされたコンテンツを通じて、顧客と関わることに焦点を当てます。そして、進化し続ける顧客のニーズに適応するために、マーケティング、イノベーション、および物流全体の能力を発展させます。Alibabaはこれを新たな小売と呼びます。


この連載の今後の記事では、新たな小売の概念を掘り下げ、カスタマージャーニー、イノベーション、オムニチャネル最適化など、中国の活気に満ちたデジタルマーケットプレイスの重要な要素を深く掘り下げる予定です。これらの記事を通して、中国のユニークな違いを理解し、その知識を国内市場に適用し、競争を有利に進めたいと考える米国と欧州の企業は、重要な洞察を得られるでしょう。

原文 : https://www.bcg.com/publications/2017/retail-globalization-china-reveals-future-shopping.aspx
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