ボストン・コンサルティング・グループ

中国がショッピングの未来について明かすこと Part 1

2017年5月4日

Chris Biggs、Amee Chande、Erica Matthews、Pierre Mercier, Angela Wang、Linda Zou

本稿は、BCGとAlibabaによる、小売の未来に関する連載の一つ目です。

タイムズスクエアの真ん中に立ち、輝くネオン、早口の行商人、ストリートパフォーマー、生演奏の音楽、車の騒音などに囲まれているところを想像してください。続いて、オンライン上で同様の騒々しい物事に囲まれているところを想像してください。中国のデジタルマーケットプレイスへようこそ。そこでは、コンテンツ、サービス、プロダクト、色、そして選択肢などは急速に変化しており、ショッピングはアドベンチャーとなっています。シンプルなオンライン上での取引に慣れている西洋の買い物客にとって、これはカルチャーショックとなります。

今日、中国は世界で最もeコマースが活発な国となっています。中国の国家統計局によると、中国の消費者は2016年に7500億ドルをオンラインでの取引に費やしています。これは米国と英国を合わせた総額を上回ります。この数字は驚異的なものですが、さらに興味深いことは、中国のデジタルマーケットプレイス、テクノロジープラットフォーム、そしてオンラインでの行動様式が、西洋と比較していかに異なった形で進化してきたかということです。これらの違いから、ショッピングの未来を垣間見ることができ、世界中の企業のための貴重な洞察を得ることができます。小売の未来に関する連載の一つ目である本稿では、今日の中国でのeコマースの概要をまとめ、中国と西洋でのいくつかの重要な違いを探索します。

デジタル革命はモバイルへ

1990年代にAmazonとオンライン小売業者が米国のショッピングをディスラプトしたとき、小売業者と消費者はともに、深く根ざした商習慣を再考しなければなりませんでした。対照的に、中国での物理的な小売業はあまり発展していませんでした。中国のデジタル革命は、可処分所得と消費の成長と同時に起こりました。その結果、eコマースはすぐさま標準となり、その発展は中国が西洋を追い抜くほどの急速なものとなりました。(Exhibit 1を参照。)

中国はまた、モバイルコマースにおけるパイオニアでもあります。(Exhibit 2を参照。)多くの消費者がパソコンの時代を完全に飛ばしており、直接スマートフォンへと向かいました。この事実により、より大きなスクリーンのあるSamsungのスマートフォンが、西洋のマーケットよりも先に中国で深く根付いたのかもしれません。業界予測によると、携帯電話を使ったオンラインでの購買は、2020年までに、中国でのeコマースの総額の74%を占めることとなります。これに対し、米国では46%を占める程度となります。

eコマースのペースが落ちることはないようです。今後5年間で、中国のeコマース業界は毎年20%成長することが予測されています。これは米国と英国の2倍の早さとなります。このeコマースの成長は、個人消費の増加だけでなく、数億人に及ぶ新規顧客の流入によっても突き動かされます。その新規顧客の多くは、かつてオンライン上に来ることのなかった、小さな都市や郊外出身の人たちです。

この成長の一環として、西洋にとっては驚くべきものとなるかもしれない製品分野における、より高いeコマースの浸透率が見込まれます。今日、中国の消費者はオーガニックフードから高級車に至るまで、ありとあらゆるものをオンライン上で購入しています。今後10年間で、オンラインショッピングは幅広い分野に渡って、普及と深化を進めるでしょう。いくつかの予測によれば、米国のオンラインの買い物客の40%以上を獲得するのは、書籍や衣服など5つの分野のみとなっています。中国では、スナック菓子から金融サービスまで、15の分野がこのレベルまで浸透するでしょう。

eコマースの最前線

中国の独特な小売の発展により、世界で最も先進的なデジタルマーケットプレイスが生まれました。洗練された買い物客がおり、大量の取引が行われ、イノベーションが急速に進み、ソーシャルメディアやマルチメディアなどのチャネルが統合する、中国のオンライン環境からは、未来を垣間見ることができます。

中国のオンライン環境における、消費者やブランド、ショッピングプラットフォームのいくつかの重要な特徴は、明らかに西洋のオンラインマーケットプレイスとは異なります。

  • 中国の消費者はお金を使うことに熱心であり、多くの時間をショッピングに費やしています。中国では、ショッピングは単なる取引以上のものです。ショッピングはエンターテイメントであり、発見であり、そして友人やセレブ、インターネット上のインフルエンサーと繋がるということなのです。中国の消費者は、中国で最も進んだeコマースマーケットプレイスであるAlibabaのTaobaoで、1日平均30分ほどを費やしています。これは、米国の消費者が通常Amazonに費やす時間の3倍近くに及びます。そして彼らは、たとえブランドへのロイヤリティが高くないとしても、ブランドを非常に気にしています。たとえば、典型的な中国の10代は20個の化粧品ブランドを想起することができるものの、平均的な米国の10代は14個しか思いつきません。中国の若者はまた、世界で最も「消費に好意的」でもあります。42%の中国の若者がもっと買い物をする必要があると感じていますが、英国と米国ではともに36%に留まっています。

  • 熾烈なブランド競争により、絶え間ないイノベーションが起こっています。伝統あるブランドと新興ブランドはともに、競合よりも一歩先を行くため、新たなサービスやサービスモデルを生み出し続けています。化粧品、乳製品、菓子などの競争の激しい分野では、新規参入者が注目を集めるにつれ市場のリーダーは絶えず変化しています。中国のオンライン小売業者は、厳格な製品発売スケジュールを守るよりむしろ、恐れることなく新製品のテストを行い、失敗と再試行をしようとします。こうした小売業者は、消費者にアプローチするためにマルチメディアや複数のチャネルを使いこなすという点において、ますます洗練されてきました。さらには、顧客をよりよく理解するために、データ、アナリティクス、そして消費者のインサイトを利用する最前線にもいます。真の消費者主導の製品開発が行われつつあります。

  • シームレスで統合されたプラットフォームにより、ショッピングは楽しく簡単になっています。中国では、ニュースサイト、ゲーム、動画、そしてeコマースは全て主要なオンライン上のハブで相互接続しており、購入ボタンや支払い方法選択のクイックリンクが配置されています。(Exhibit 3を参照。)他の国のオンライン買い物客と異なり、中国の消費者は会社やブランドのウェブサイトを滅多に訪れません。代わりに、彼らはTaobaoのようなオンラインマーケットプレイス、iQiyiのようなエンターテイメントアプリ、そして中国で最も人気なソーシャルメディアプラットフォームであるWeChatを通じて、購入したいものを見つけ出します。中国のトップ5つのアプリのうちの2つであるTaobaoとWeChatは、オールインワンのスーパーアプリに進化しました。単なるeコマースサイトとして始まったTaobaoには、現在、ソーシャル機能とエンターテインメント機能があります。ソーシャルプラットフォームとして始まったWeChatでは、ユーザーが商品を売買できるようになりました。これらのスーパーアプリは、オンラインとオフラインの様々なサービスも提供しています。ユーザーは、人に送金したり、料理を注文したり、タクシーを呼んだり、医者の予約をしたり、請求書の支払いをしたり、映画のチケットを入手したりすることができます。米国や英国では、それぞれの活動をするためには異なるアプリが必要となります。

…Part 2へ続く

原文 : https://www.bcg.com/publications/2017/retail-globalization-china-reveals-future-shopping.aspx
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