アーロン・ハリス

Y Combinator パートナー

共同創業者のマネジメントの重要性

2015年1月30日

創業者は従業員のマネジメントを行う以前に、創業者どうしをマネジメントしなければなりません。事実、2〜3人の創業者しかいない最初の段階においては、マネジメントの失敗はスタートアップにとって命取りとなります。しかし、創業者どうしのマネジメントは非常に難しいものでもあります。

共同創業者のマネジメントを行うことはとても重要かつ難しいことであるにもかかわらず、マネジメントについてのアドバイスはたいてい従業員や上司のマネジメントに関するものとなっています。それはそれで役に立つものですが、最初の段階ではそうとも限りません。初期の段階におけるマネジメントに関して私が読んだことのあるものは、「共同創業者のマネジメントは交際のように行え」と構造化されています。それは事実であるものの、多少役に立つ程度に一般化されたものです。

共同創業者のマネジメントは以下の数ある理由から難しくなっています。

  1. 初めのうちは、共同創業者間での指揮系統が明確ではありません。共同創業者の一人はCEOかもしれませんが、その人物が必ずしも最善のマネージャーであったり、エンジニアリング部門や営業部門、もしくはプロダクト部門を率いるのに最適であるとは限りません。

  1. マネジメントを行った経験がある共同創業者は滅多にいません。スタートアップを経営しながらマネジメントを学ぶのです。マネジメントを行う良い方法はいくらでもありますが、それを学んで練習するのには時間がかかります。

  1. 共同創業者はしばしば、同じチームに所属し、同じゴールに向かっているからという理由で、マネジメントは必要ないと考えてしまいます。

  1. スタートアップには強いプレッシャーが伴います。プレッシャーによって人は悪い意思決定を行ったり、いきり立ってしまうことがあります。そして、小さなミスが思わぬ結果を導くのです。

  1. コミュニケーションは想像しているよりもはるかに難しいものです。たとえチームに2人しかいないときでさえもそうです。

  1. 10億ドルのビジネスを構築することを目標にして、0から会社を始めようとするためにはエゴが必要となります。結果として、創業者はしばしば大きなエゴを抱えてしまいます。何かに成功したりメディアに取り上げられたりする度に、エゴは膨らみます。仕事やプライベートで失敗すると、エゴは縮み、感情的に打ちのめされてしまいます。この気分のジェットコースターに乗ると、神経は擦り切れ、チーム内での緊張状態や争いが発生します。

  1. 責任の分担はしばし不明確となります。その結果、チーム内での縄張り争いが発生したり、自身の領土が侵食されているように感じられる可能性があります。また、細かく規定するマネジメントが行われてしまうかもしれません。

  1. 平等な小さなチームでの意思決定は難しくなりがちです。特に、議論が白熱するような意見の相違がある場合には難しくなります。

共同創業者のマネジメントを難しくする要因は他にも多くあります。幸運にも、その解決策は一連の課題よりもはるかに小さなものとなっています。これらの課題は根本的な原因に由来しており、その根本的な原因を解決することは、その原因を様々に表現することよりも簡単です。

オープンなコミュニケーションこそが、良好な仕事環境を作るために最も重要な要因であり、他のすべての物事の土台となります。そのような環境が作られることは、共同創業者がお互いを好んでいることよりも重要です。共同創業者がコミュニケーションを取ることに納得するだけでは十分でなく、また必要なときだけに話をするということでは不十分となります。共同創業者は、会社とお互いに関する重要な論点を話し合うために、それぞれに対する定期的な確認項目を作成する必要があります。

従業員がいる場合は特に、このような会話はオフィスから離れた場所で行うほうが良いでしょう。このような会話をオフィスから離れた場所ですると、遮りを減らすことができ、難しい問題などを話し合う際の心理的な緊張をほぐすことができます。この点に関して、私と共同創業者はラッキーでした。コーヒーショップは隣にあり、レストランは下の階にあり、バーは通りの向かいにあったからです。しかし、一日に何度も小さなオフィスから抜け出ることは悪い考えであり、他の人たちの士気を下げてしまうということに(少々遅れてから)気づきました。オフィス外にいるときでさえも、このような本音の会話を共同創業者とすることができないようであれば、あなたは困難に直面しています。

アイデアが企業へと変身するスタートアップの最も初期の段階において、あなたは最初の難しい話し合いをすることになるでしょう。つまり、あなたと共同創業者は、責任を分担し、目標のオーナーシップとその目標を達成するためのタスクを割り振る必要があります。最終的な意思決定権は、それぞれの領域ごと、また企業全体の決定のために定められるべきです。CEOに委ねられるものもあれば、プロダクト部門やエンジニアリング部門、営業部門の統括者に委ねられることもあるでしょう。同じ人物がこれらの役割を担当するかもしれませんが、責任は役割に伴うものであり、人物に伴うものではありません。

この話し合いをすることで、自らが所有すべきだと考える意思決定権から切り離されたと誰かが感じる場合、争いが生まれる可能性があることを覚えておきましょう。決裁権を譲ることはとても難しいですが、マネジメントしやすい組織を作るためには必要となります。

これらの論点を早めに話し合い、あなたの決定事項を書き出し、定期的に見直しましょう。

責任のオーナーシップを早めに分担する理由には、あなた自身と共同創業者への期待を設定するというものがあります。共同創業者のマネジメントは簡単なことではなく、そうであると想定してはいけません。プロダクトの最終的な意思決定権を誰が持つのかという点について争っているときには、それを解決することがいかに難しいことであるのかに気づくでしょう。私がかつて共同創業者の一人に知らせることなく、独断でプロダクトに関する意思決定を行った際に、彼と私は怒鳴り合いの喧嘩をしました。彼は私が最終的な権限を持つことに同意したものの、私は自らの考えを彼に納得してもらえるように伝えることに失敗していました。また、プロダクトに関する意思決定がどのように行われるかという点については、正確な期待を設定することに失敗していました。

実際のところ、いかにマネジメントが難しいのかを知ることが、他の人と働く上での最も大きなショックの一つとなりえます。そのため、その難しさに関する合理的な期待を持つと良いでしょう。争ったり、腹が立ったり、苦しむことになるのを事前に把握しておくことで、これらのいざこざはすべて理に適った形で現れることになります。これらのいざこざを切り抜けるための戦略を持っておくことで、そのいざこざに直面しても(うまくいけば)会社は崩壊せずに済むでしょう。

自分自身の戦略はいくつか見つかる一方、自ら完璧に考え出すことは時間の無駄となります。マネジメントは、個人的なスタイルを表すのと同じくらいに、繰り返しが可能な実績のあるプロセスなのです。そのプロセスは大部分において一般的なマネジメントの文献から適用することが可能ですが、信頼できるメンターから教わるほうがより役に立つことが多いです。最善の場合のシナリオでは、このメンターはすべての共同創業者によって信頼されているので、皆が同じ教訓を学ぶこととなり、必要な際にはそのメンターを公平な調停者として利用することができます。

良いメンターを見つけるのは難しいです。YCに参加することで素晴らしいメンターに出会える機会を得られますが、もちろんそれが唯一の方法ではありません。理想的には、あなたがこれから経験する道のりを辿ったことのある人を見つけるのが良いでしょう。また、あなたのキャリアにおける様々なポイントで、複数人のメンターが必要となることも心得ておきましょう。最も初期の段階でアドバイスをくれるメンターは、創業者たちが数十人もしくは数百人の従業員に責任を負っているときに必要となる人物ではありません。直面する課題が変化するように、アドバイスも変化するのです。

このフレームワークを事前に使っていたとしても、共同創業者のマネジメントが簡単になることは滅多になく、企業が成長しプレッシャーが高まるに連れていっそう難しくなります。いつもそうであるように、物事が悪い方向に進み始めると、そのプレッシャーはさらに強くなります。あなたは重要なことについて争い、一見重要に思われないことについても争うことでしょう。それはすべて大丈夫で、ありふれたことです。ただ、その課題について話し合い、順応し、会社を前に進め続けることだけは確かめておきましょう。ゴールは共同創業者との関係を簡単にすることではなく、マネジメントしやすいものとすることなのです。

原文 : http://www.aaronkharris.com/cofounder-management
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